「あーもうマジうぜー」
ガラッと勢いよく開けられたドアの音と、荒々しい声。
いつものように朱里と梨花とお弁当を食べていた私だけど、ビクッとして振り返った。
すると教室に入ってきたのは、田澤くんを含む野球部の男子3人。
休憩中だというのに、3人とも面白くなさそうな顔。
「メシ食う時間、もうほとんど残ってねーじゃん」
その中のひとりが、舌打ちをしながらそう言い放ち、しんと静まりかえる教室内。
3人がこうなってしまった理由は、クラスの全員が知っている。
四時限目の授業の途中。
教材を忘れた先生が、職員室へといったん戻った。
そのときにみんな雑談し始めて、ざわざわとうるさくなって……。
中でも騒いでいたのが、この3人。
そして……先生が戻ってきたときというのが、前原くんのノートを取り上げて、ちょうど冷やかしているときだった。
もちろん3人はその場で怒られたけど、それだけじゃなく授業後に職員室まで来るようにと言われていた。
……つまり、お説教は今の今まで続いていたということ。
怒られて自業自得だよ。いい気味だ……なんて、心の中で少し思っていたけど、
戻ってきた3人の表情を見て、ゾッと嫌な予感がした。



