言いたい、言えない、キミが好き。




「──あと今日は、みんなに話さなきゃならないことがもうひとつあります。前原くんがお父さんの仕事の都合で、引っ越すことになりました」


担任の先生がみんなの前でそう告げたのは、朝のホームルームの終わりがけだった。

まさか彼がいじめられているなんて知らない先生は、先生なりに考えてこのタイミングを選んだんだと思う。

突然の報告に小さくどよめいた教室内に経緯を説明したあと、


「最後に前原くんとの思い出を沢山作って下さい」


と、言ったから。


でも、出来たなら最後の最後、帰りのホームルームにしてほしかったと思った。

だって……。



「前原くーん、転校するとか聞いてないんですけどー」


何となく予想していた通り。

ホームルームが終わって先生が教室から去ると、前原くんに絡んでいく男子の姿があった。


「めっちゃ寂しいじゃんー」


嫌でも耳に入ってくる声を聞きながら、『嘘つき』って下唇を噛む。

それから、もう前原くんに関わらないでよ……と。


せめて最後くらい、穏やかに過ごして欲しい。

だけどそんな私の願いも叶わず、転校を知ったからか、いつもより多く、休憩の度に前原くんは絡まれていて。

そして……


事件が起こったのは、昼休憩のことだった。