言いたい、言えない、キミが好き。


校門から一歩出た場所で足を止める。

そしてすぐさま目を向けたのは、図書館方面へと向かうあのバス停。


すると、ちょうどバスが停車していて、乗り降りする人の姿が見えた。

前原くんがいるかどうかはわからない。
だけど、遠目から確認している場合じゃない。

迷うことなく走り出そうとした……そのときだった。


「あっ……!」


つま先が地面に引っかかった感触。

ヒヤッとした次の瞬間には、ズサッ!と音を立てて私の体は倒れ、両手と膝に焼きついたような痛みが走った。


「っ……」


何もない所でつまずいて転けるとか……。


周りの目が気になって、恥ずかしさで上手く顔を上げられない。

それに、遠ざかるエンジン音。

バスはもう行ってしまった。


何してるんだろ……。

肝心なところで、私っていつもこう。


前原くんの力になりたいって思うのに、自分が弱すぎるせいで、あと一歩が届かない。


「った……」


しゃがみ込んだまま、ジンジン痛みを感じる右膝を見ると、血が滲み出ていた。


「もうっ……」


痛いし情けないしで、喉の奥がピリピリとして、こみ上げた涙が溢れそうになる。