言いたい、言えない、キミが好き。


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優しくしてくれてありがとう。
少しの間だったけど、望月さんと仲良くなれて嬉しかった。

困らせてばっかりで、ごめん。 前原

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私に勉強を教えてくれていた、整った綺麗な文字。

その、懐かしくさえ感じてしまう筆跡で綴られた内容に、ゾクッとした。


だって、『少しの間だったけど』って……。

それって、もう会えないってこと?


頭の片隅を過ぎったのは、テレビなどで報道されるニュースの見出し。


【中学◯年生の男子がいじめを苦に自殺】


前原くんがいじめられるようになってからも目にしたそれを、全く気に留めなかったわけじゃない。

だけど、あまり関係ないと思っていた。


確かに前原くんはいじめられているけど、そこまで思いつめた様子には見えなかったから。

何をされても無表情で、気にしていないようにも見えていて。


……だから大丈夫。
そこまでのことは起こらない。

何の根拠もないのに、そう思っていた。


でも──。