あれ……?
靴の中に何か入っていた。
手に取ってみれば、それは4つ折りになったノートの切れ端。
梨花かな?
そう思いながら開いてみると……。
「え……」
目に入ってきた筆跡は、梨花のものではない。
だけど見覚えのある、懐かしくも感じる文字。
そして……
綴られた言葉に体が固まる。
切れ端を持つ指先が、小刻みに震えだす。
「うそ……」
小さく私は呟き、ハッと我に返ると下駄箱からスニーカーを引っ張り出して、外に飛び出した。
手にはメモを握りしめたまま。
キョロキョロと校舎の周囲を見回すけど、探している人の姿はない。
それならばと、校門の外へと向かって走り出す。
何で……。
前原くん、どうして?
前原くんっ!
心の中で繰り返す名前。
私の靴の中に手紙を残したのは、他でもない彼だった。



