言いたい、言えない、キミが好き。


「まぁ確かにうちのクラスって、田澤を中心に回ってるみたいなもんだけど……」

「あっ、違うよ! 実優が悪いっていう意味じゃないよ⁉︎」


言葉を濁した朱里を見て、梨花はハッとした様子で私に言った。


「……うん」


責めるような意味で言ったんじゃないのはわかっていて、小さく笑顔を作って頷く。

──だけど。


田澤くんが本当にいじめの主犯だとしたら……私は全く関係ないと言えるんだろうか。

田澤くんに告白されたのは事実だからこそ、あり得ない話でもなくて不安になる。

もし、梨花の言う通りだったとしたら、私は……。


梨花の言葉が、深い意味で言われたものじゃなく、素で言われたものだからこそ、引っかかった。

それでも、きっとまだ落ちたものを拾っているだろう前原くんに、私は何も出来なくて……。


そのまま、何も変えられないまま、迎えた放課後。