「あーもう、ムカつく!」


昼休憩。お弁当を食べながら、机の下に隠すようにしてスマホをつついていた梨花が、突然声を上げた。

学校の規則ではケータイ禁止。

先生に見つかればこっぴどく叱られることになるのだけど、そんなのお構いなしとばかりに、必死に画面をタップしていた梨花。

その様子と声から、何に対して苛立っているかは予想出来て……私と朱里は顔を見合わせ苦笑する。

そして、


「彼氏?」


もはやお決まりの言葉を口に出したのは朱里。


「またデートなしにされたんだけどっ!」


そう返事すると梨花は、お弁当の端の玉子焼きにフォークを突き刺した。

いつもの小さなケンカかなって思ったけど、少し様子が違う。

そういえば、夏休み明けくらいからあんまり会ってくれなくなったって言ってたっけ……。


「梨花……」


何と言えばいいのか分からないけど、心配になって声をかけようとした……そのときだった。