後悔先に立たず。
そう言われても……もう遅い。
私はあの日からずっと後悔してる。
あの始業式の日から、ずっと──。
ピピピピピ……。
あっ、いけないっ!
突然鳴り響いた電子音にハッとして、気付いたときにはもう既に遅かった。
それは、小テストの終わりを告げるタイマーの音。
「はい、じゃあそこまで! 隣の席の人と交換して下さい」
先生の声にみんな一斉にペンを置き、テストの交換を始める。
うわ……。
出来ることなら、あと3分待ってほしい。
そんな個人的な願いが届くはずもなく、
「望月さん」
「あ、ごめん」
催促された私は、隣の席の男子に小テストを渋々差し出した。
これから先生が黒板に正解を書いて、答え合わせ……なんだけど、
「え、これどうしたの」
私の小テストを見た男子の反応に、あははと渇いた笑いを返す。
びっくりされるのも無理はない。
私が埋めた空白はちょうど半分。
読みだけやって、書きの5問は全て空白のままなんだから。



