言いたい、言えない、キミが好き。


「えっ……」


ドキッと鼓動が跳ねる。

何で……って思ったときには、クラスメートが既に口を開いていた。


「さっき先生と話してるの聞いたよ。あいつと毎朝勉強してるんでしょ?」


私に向けられた冷たい目。


「勉強とか言って、ホントは違うことしてたりして」

「やだ、あの前原と?」


渡辺さんの周りで、クスクスと馬鹿にするような笑い声が起こる。


「だからいい加減なこと言うのやめなって」

「そうよ!」


私を庇って、声を荒げる朱里と梨花。


どうしてこんなことに……。

戸惑うばかりで立ち尽くす私に、


「じゃあ、どうしてあいつと勉強なんかしてたの?」


質問を投げかけてきたのは渡辺さん。


「望月さん、本当は前原と付き合ってるんじゃないの……?」


そう問いかける口元は笑っていた。


渡辺さんが好きなのは田澤くんで、私が前原くんと付き合っていようがいまいが、関係ないはず。

むしろ、単純に考えれば付き合っている方が、都合がいいはずだ。


でも……そんなのもう関係ないんだって、渡辺さんの表情を見て分かった。