「望月さん、ちょっと来てくれる?」
帰りのホームルームが終わって、やっと帰れる……と、ホッとした私に、声をかけて来たのは担任の先生だった。
「あ、はい……」
言われるがまま席を立ち、先生の後を追って教室を出る。
何だろう……。
もしかして、クラス内で噂になっていることが、先生の耳にも入っちゃったんじゃないか。
そんなことを考えて、少しドキドキしていた。
……でも。
「いきなりごめんね」
職員室に入った先生は、自分の席の椅子に腰かけ、口を開いた。
「望月さん、前原くんと一緒に朝、図書室で勉強してるんだって?」
「えっ?」
「上野先生から聞いたの」
上野先生は国語の先生で、図書委員の担当。
誰にも言ってなかったはずなのにと、一瞬ドキッとしたけど、毎朝鍵を貸してくれるのは上野先生で、すぐに経緯を納得した。
「それでね……」
先生は一旦私から目を離し、手にしていたプリントの束をペラペラとめくる。
それはさっきのホームルームで集めた、進路希望調査用紙。
……と、いうことは……。



