「じゃあ、帰りのホームルームで集めるので、それまでに書いておいて下さい」
先生の言葉のあと、日直が号令をかけて、授業は終わる。
そして休憩に入るなり、斜め前の席の渡辺さんは、仲の良いクラスメートの元に駆け寄っていった。
やっぱり気付いてなかったんだ……。
そのまま消しゴムを拾いに行った私は、くっ付いたホコリを軽くはらいながら、ホッとする。
ちょっとだけドキッとした。
嫌な想像が頭を過ぎった。
でも、考えすぎだったみたい。
友達と笑顔で教室を出て行く渡辺さんの姿を確認して、自分の席へと戻ろうとする。そこへ、
「実優ー」
仁王立ちで目の前に立ちはだかった人は、梨花……と、その隣に朱里。
そうだった……。
さっきまで頭の中の大半を占めていたことを、一瞬にして思い出す。
「えっと……」
ちゃんと本当のことを話そうとは思う。
だけど、何から話せばいいのか……まだ言葉はまとまっていない。
それにここは、田澤くんも前原くんも、クラスメートみんながいる教室。
そして何より……一歩ずつ近寄ってくるふたりの威圧感がすごくって。



