言いたい、言えない、キミが好き。


こうして誰よりも近い距離で触れ合うのは、2回目。

それでもやっぱりドキドキして、胸の奥から熱くなる。


緊張するけど嬉しくて、もう少し早くこうしたかったな……なんて思った。


「それじゃあ」

「うん……」


時間はあまり残されてはいなくて、私達は余韻に浸ることもなく、図書室を後にした。

そして前原くんは職員室に鍵を返しに、私は一足先に教室へと向かう。


嬉しそう、だったな……。

廊下を急ぎながら思い出すのは、最後に見せてくれた笑顔。


そうだよね……。
やっぱり隠されているのは嫌だよね。


自分がもし逆の立場だったら……親友にさえ秘密にされているのは、すごくショックだと思うから。


前原くんはすごく素敵な人だもん。

朱里と梨花にそれをちゃんと伝えて、自分の気持ちを正直に話そうと決めた。


図書室での言葉に、嘘も迷いもなかった。


はずなのに──。