あ、あれ……?
意外な反応に目をパチパチさせる。
これはもしかして、照れてる……?
何か……前原くん、かわいいかも。
「……いつ?」
今の今まで自分の発言を後悔していたはずなのに、前原くんの反応にいたずら心が目を覚ます。
「んー……引かない?」
「引かないっ!」
私が勢いよく応えると、前原くんは「じゃあ……」と、読んでいた本をパタンと閉じた。
「好きになったっていうか、気になったのは実はずっと前なんだ。……望月さんって、妹とかいる?」
「え?」
「入学式の日にさ、小学生の女の子と一緒に登校してなかった?」
「……」
聞かれて、そうだったっけ……と思い出す。
「……あ、そういえば。うちの近所の女の子と一緒に来たかも」
小学生だったころ交通班が一緒で、私のことを本当のお姉ちゃんみたいに慕ってくれた、当時小学2年生だった女の子。
私が中学に上がって、もう一緒に登校出来なくなったことを上手く理解出来ず、ずっと待っていてくれたんだっけ。
それで、入学式のその日だけ。途中までだけど、一緒に登校した覚えがある。



