あの肝だめし大会の日から、今日まで前原くんと会っていなかった。

『始業式の日はどうする? 朝、勉強する?』なんて、何でもないやり取りはLINEでしていたけど、実際に顔を合わせたのは久しぶり。


だから……嫌でも意識しちゃう。

私と前原くんの関係について。


好きって言われて、私もって返事して、晴れて両想いになった。

それってつまり、付き合いはじめたってことだよね……?

前原くんは私の彼氏になったんだよね……?


参考書を広げ、黙々と勉強する彼の顔をそっと覗き見る。すると視線に気付いたのか、前原くんは突然こっちを向いて……。


わわっ!


私は逃げるように俯いて、勉強するフリをした。


「……」


……何やってるんだろう。

目だけ動かして見てみれば、前原くんはまた参考書に視線を落としていた。


こうしていると、ただの友達だった頃と何も変わらない。

私達、付き合ってるんだよね?……って確かめたいのに、確かめられない。