透明な海



ホットケーキの素のパッケージ底面には、一週間後の年月日が刻まれていた。

よく見つけたなと思いながら、母にはそういうところがあることを思い出した。

過去にも何度か、賞味期限、消費期限間近の食品を見つけ出してきたことがある。

あれはある種の才能と表現してもいいだろうなと密かに苦笑し、潤はパッケージの箱を開けた。


特に作り方を確認するでもなく、潤は生地を作り、フライパンを熱した。

感覚を頼りに生地を垂らし、ちょっと早かったなと言いかけた声を飲み込む。

ホットケーキに限らず、いちいち温度だの分量だのの確認はしない。

温度が低くてもそのうち温まるのだし、熱すぎれば火を調節すればいい。分量だって、ある程度慣れればそれほど慎重にならずともそれらしい出来になる。

ヘラで焼き加減を確認し、さっと返した。程よく焼けた面が小さな快感を誘う。


二枚目を返してすぐ、潤は静香の言うバニラアイスを作業台に出した。

基本的にこれくらいに出しておくと、ホットケーキが焼きあがる頃にちょうどいい溶け具合になるのだ。