透明な海



席に着いて、潤はふうと息をついた。

「やっぱ、一緒にいんのはここがしっくりくるな」

「そうだね」

「夏休みかあ……。結構暇だよな」

「一か月以上あるからね」

「教室じゃ喜んでるやつがほとんどだったけど、あまり長い休みも困るよな」

「今までどうしてた?」

「いや、特になにも……。寝てたり、本読んだり。十織は?」

「家の植物眺めたり、飼ってるインコと遊んだり」

「インコいるんだ?」

「セキセイインコ。青いの」

「へえ。喋るの?」

「個体差あると思うけど、うちのはすごい喋る」

「へええ」

一秒にも満たない静寂に、十織は「欲深い」と呟いた。

「別に普通じゃね? 人間なんてみんなそんなもんだろ。お前は人間のどんなところが好きなの?」

「なんだろう。生きるためになにかを求めるところ」

「ふうん……」

そうか、としか返せなかった。

潤は人間のそういうところが嫌いだった。なにかを強く求め、それが手に入らなければ強い感情を抱く。求めていないものを受け取った場合もそうだ。そんな様が愚かしく思えた。