透明な海



「友達、ほしいの?」彼は言った。

十織は静かに笑う。

「そうみたいだね」

「他人事だな。で、お前は友達となにがしてえの?」

「普通なこと」十織は静かに言った。

潤はオウム返しする。

「なんら特別じゃない、ありふれた日常」

「そんなの、なにもおれとじゃなくたって、普通に同じ学校の同級生と送ればいいじゃん」

「うん」と、十織は静かに認めた。

「でも、できなかった」

「ふうん。まあどうでもいいけど、とりあえずここは離れようぜ。なんか飲みたい」

潤がよっこいしょと腰を上げると、十織も「そうだね」と続いた。


いいかげんにテープを貼られたペットボトルを手にコンビニを出ると、一瞬、自然と呼吸が止まった。

「いやあ、これでどこに避難するよ? 行きてえとことかねえの?」

潤が十織と名前を続けると、彼は喜ぶ幼子のように笑った。

「……そんなふうに笑うなよ。こっちが恥ずかしくなる」