透明な海



「何年生?」大学生は続ける。

「……二年」

大学生は「へえ」と、今度は明るい笑みを見せた。「同じだね」

「……は?」

「高二でしょう? おれもそう」

「……高校生?」

「そうだよ」

「高校生なの?」

そうだよ、と彼は頷く。

「……大学生じゃないの?」

「高二。今年の八月で十七歳」

「ええ……」

同級生にこんなおっかねえやついねえし、と潤は先ほどと同じように密かに涙声を発した。

「おれ、しもや とおりって言うんだ」

えっ、と声が出そうだった。飴を受け取らない理由について七瀬がなにか言っていたとき、とおりという名を聞いていた気がした。

「下の谷でしもや、漢数字の十に機織りの織るでとおり。君は?」

「……つゆき じゅん。結露の露に木曜の木、潤う」

「へえ。素敵だね」

「……どうも」

「どこの学校通ってるの?」

「市内の県立。偏差値は……訊いたら頭突きする」

おやおや、と十織は苦笑した。

「頭突きかあ……。それは大変だ」

「他に頭突きっつう攻撃法のやつ知ってる?」

「ああ、幼馴染がよく言うんだ。……どうして?」

「いや。おれ、お前のこと間接的に知ってる気がして」

潤が言うと、十織は「うわあ」とすべてを輝かせた。サプライズを受けた幼子のようだ。

「ちょっといいかな」と言って、彼は荷物をまとめて一つの空席を詰めてきた。