何度目かに確認した携帯電話は、十二時四分を表したあと、すぐに一分、時を進めた。

潤はベッドを出て服を着替えた。白のティーシャツに青のジーンズ――シンプルと言えばある程度聞こえがよくなりそうな、おもしろみのない組み合わせだ。

無難なスポーツブランドの黒のショルダーバッグに勉強道具を詰める。バッグはいつかアウトレットで購入したものだ。


「そんなおしゃれしてどうしたの」と言う静香へ「普段ださいみてえに言うなよ」と苦笑して、行き先を問うてきた彼女へは散歩だといいかげんに言葉を返して家を出た。


潤は昨日久しぶりに乗った自転車を出してまたがった。

昨日、人間の体は案外賢いのかもしれないと思った。二年近く乗っていなかったものに難なく対応した。


ショッピングモール――そこで勉強することに特別な意味を見出したわけではない。

ただ、家では捗らず、図書館では本を求める気がしたため、少し前まで勉強している人を見かけることがあったそこを選んだのだ。