ダイニングテーブルに置いてある携帯電話がメールの受信を知らせた。
「誰?」と言う妹へ「母上」と返し、内容を確認する。
「なんだ、彼女じゃないんだ」
まあ期待もしてなかったけどと呟く静香へ「うるせえ」と返す。
「で、なんだって?」
「卵がないはずだから、確認して、残りが半分以下だったら一パック追加しておけって」
「ほう、おつかいだね?」
「ん、代わりにやるか?」
「は?」
「だよな。まあ半分以上残ってる可能性もあるし、それを期待するしかねえな」
よっこいしょと潤は腰を上げた。
「まあ、なければ一緒に行くくらいはしてあげるけど」
「えっ、まじで?」
「なに嬉しそうにしてんの」
「嬉しくねえけど」
「素直じゃないねえ、まったく。こんなかわいい妹に一緒におつかい行ってあげるなんて言われて、嬉しくない兄がいるわけないのに」
「うるせえ。ここにいるんだよ、確かに」
やれやれ、と静香は肩をすくめた。
「いつからそんなけがれた少年になってしまったのやら」
「騒々しい。つうか絶対残ってっし、卵」
だといいけどねという妹の冷めた声を背中に聞き、潤はキッチンに入った。