すっと、紙が机の上を走るような音がした。「かわいそうな露木君へプレゼント」と七瀬の声が続く。
机に置かれていたのは、正方形の箱だった。
海外のうさぎのキャラクターの絵が描かれた紙でラッピングされている。
「かわいいでしょ。わたし、そのキャラクター好きなの」
「へえ」
「あげる、それ」
「……同情ならいならない。おれはかわいそうじゃない」
「かわいそうだよ。でも、わたしがチョコをあげるのは露木君がかわいそうだからじゃない」
「本命?」
「ううん、違う」
そうなんだ、と潤は苦笑した。
「日頃の感謝の気持ち。いろいろ楽しませてもらってるから」
「そうか」
楽しませてるつもりはねえけどと続けて、潤は箱を手に取った。
「中身、麦チョコだよ」
「……なにゆえ」
「男子高校生はみんな麦チョコ好きでしょ?」
「どこ情報だよ」
「冗談冗談」と七瀬は笑う。「円形のが六個。友達とかの分と一緒に作ったの」
露木君だし板チョコをそのままでもいいかと思ったんだけどと笑う七瀬へ、ずいぶん手間掛けてくれたなと潤は苦笑を返す。



