透明な海



昼食を済ませて、十織は外を眺めた。

綺麗だ、と思う。

この世界が好きだ。なにが起こるかわからない。この世界では確率なんてあてにならない。たとえ九割九分、なんなら十割、それを行えば「ある形」になるとされていても、次に誰かがそれを行ったときにも「ある形」になる証拠ではない。

今日の十割が明日には形を変える可能性だってあるのだ。


十織は可能性という言葉を好いている。

当然、確率と可能性は同じではない。今この瞬間、この世界では、生命体にはいつしか死が訪れ、訪れたそれをなかったことにする術はない。しかし、それが数日後、数時間後に覆る可能性はある。

確率はゼロでも、その中に可能性は必ず潜んでいるのだ。


十織は吸った空気をそっと吐き出した。

ああ、なんておもしろいんだ――。