透明な海



潤はドライレモンを並べた皿をテーブルに置いた。

「ご賞味あれ」と言えば、静香はすぐにドライレモンへ手を伸ばした。

彼女の口に入ったレモンはいい音を鳴らし、彼女を「おいしい」と笑わせた。

「おれが設定したから」

「完璧機械のおかげだよね」

「いや、おれが設定したから」

「じゃあそういうことで」


潤は読みかけの小説を開いた。

「今度はなに?」静香がどこか呆れたように言う。

「ミステリー小説だ」

「へえ。同じようなのばっかり読んでない?」

「同じようなのしかないんだよ、もう」

そう言って、彼はページをめくった。

「飽きないの?」

「……どうなんだろうな」

「……そんな感じで読んでて楽しい?」

「おれは小説から得られるものに楽しさを求めてない」

「小説は娯楽でしょう?」

ぱらりとページをめくった。

「芸術だろ」

「またそうやって深いところ入る。で、潤はなんのために本読んでるの? 知識を集めるため?」

「まあ、そんなところ」

「なにを知りたいの?」

「……別に」

出た、と呟いて、静香はドライレモンをかじった。