透明な海



どうしてだろう、と思う。

楽しそうに話しながら後ろを歩く少女と、図書館の袋を持って誰と言葉を交わすでもなく歩く自分。本来はなにも変わらないはずなのだ。

同じ人間だ。それで、どうしてこうも考えることが違うのだろうと思う。

日によって自分に働く重力が違う――。そんなはずないだろうと思う。


思考回路がけがれている、と妹に言われたことがある。思考回路がけがれているため、そこを通る思考自体もけがれてしまうのだと。

根っからけがれてしまっていると言われたのだろう。

実妹にそこまで言わせるとは、と潤は今更ながら腹の中に苦笑する。


今のこの「根っからけがれてしまっている」状態になったきっかけに心当たりがないわけではない。

自分を含めた人間の存在意義に疑問を抱いてしまったのは、小学校を卒業したかその直前かといった頃だった。