「で、この『梨狩り』、どれくらい?」
「当たり具合?」
「ああ」
「結構なものだよ。生き物が強く関係してるってなって食事に行ったのは正直驚いた。『あ、やばい』って」
「え、じゃあなんか食いに行きたいの?」
「うん。友達と。高校生のうちに」
「へええ……。じゃあ最悪来年の長い休みでもいいわけだ?」
「まあね」
十織は小さく苦笑した。「でもここまでくれば、わからないでもなさそうだけどね」
「えっじゃあ、飴食いたいの?」
「いや、それならななからもらう」
「ああ、もらうようになったんだ。つかどこだ? まじでなに食いたいの」
「どうせじゃ見つけ出してよ」
「ええ……? まじ乙女じゃん。発想が乙女」
「いや、食べたいものは充分男も食べるものだよ」
おっ、と潤は声を漏らした。
「言ったな? 男っぽい食いもんだ?」
「女性も食べるけどね」
「わかった、焼き肉」
十織は「うーん」と笑った。
「ええ……? 違うの?」
「違う」
「焼き肉、最近女も食うぞ?」
「でも違う」
「じゃあかつ丼、天丼、牛丼のどれか」
「違うなあ」
「なに、他に男っぽい食いもんとかある?」
「あるじゃん」
「わかった、あそこのファミレスでやってる期間限定のでかいステーキ」
「違う」
ええ、と潤は頭を掻いた。
「よし。じゃあお前、食事の量はどんなもん?」
「平均じゃない?」
「ええ……? じゃあメガ盛り的な系統ではないわけだ?」
「そうだね。まあ出してるところは出してるんだろうけど。おれは頼まない」
「へえ……。メガ盛りがないこともない男っぽい食いもんか。肉じゃねえんだろ?」
「違うね」
「牛丼とかもメガ盛りあるけど」
「違う」
「安いもの?」
「そんなに高くないんじゃない? 店にもよるだろうけど」
「ええ……? 高いとこは高い感じ?」
「そうだね」
「わかった、パスタ」
「男らしいかなあ」
「乙女乙女はしてねえだろ」
「まあね」
「じゃあハンバーガー。野菜多めとかなら女もいくし、でかいの作ってることろは作ってそうじゃね? テレビで見るようなところは結構高いし」
「違う」
「ええ……? この世の食べ物だよな?」
「おれは人間だよ? 地球で生まれ育った」
「地球? じゃあ日本の食いもんじゃねえと?」
「そんなに深い意味を込めたつもりはないけどね」
「そういうぽろっと出たのがでかいヒントだったりすんだよ」
まあまあと十織は苦笑した。