透明な海



「生きるのに必要な場所――」

改めて言うと、静香は顎に手をやった。

「なんだろう。運動場とか?」

「運動、生きるのに必要か?」

「ないことはないでしょう」

「まあ、そうだけど……」

「癒しとか」

「と言うと?」

「動物園――ああ、人間しかいないんだもんね」

「たぶんな」

「生きるのに必要――」

しばらく考え込んだあと、静香はぱっと顔を上げた。

「わかったか?」

「わかんない。つかどうでもいいけど、潤も考えなよ。友達のことでしょ? わたしに悪口言われたくないくらい大切な」

「ああ、まあ……」

潤は腕を組んで思考を巡らせた。

十織の行きたがるような場所――。生きるのに必要で、人間がいる場所――。

いやわかんないからお前に助け求めたんだけどと、潤は密かに妹へ苦笑する。