透明な海



「ええ、どこだろう。生き物に関係があって、人間がいる場所」

少し沈黙を作り、静香は「あっ」と声を上げた。

「わかった?」

「いや。でも、人間がいる場所って多いから、逆に人間のいない場所を挙げていけば、それとは違う系統の場所って、ちょっと絞れるんじゃない?」

「ああ……。えっ、でも人間のいない場所ってどこ?」

「……夜中の山奥とか? 心霊スポットとか」

「ああ」

確かに十織の行きたがりそうな場所ではないなと思った。

「あいつ、そういう場所嫌いそう」

「なるほどね。怖いの嫌いなのかな」

「おう。お前、今日冴えてねえ?」

「いつだって冴えてますけど」

「ああ、そうなんだ」

なによと言う静香へ、潤は両手のひらを見せてオーケーオーケーと苦笑する。

「じゃあ、一切『怖い』の要素がない場所ってことだよね。じゃあとりあえず、遊園地とかテーマパークは外れるかな」

「お化け屋敷?」

「そう。で、あまり生き物に関係あるようにも思えないし。人間はうじゃうじゃいるけど」

「そうだな」

「で、映画館もちょっと違くない? この時期、ホラーとかありそうだし。予告編とか流れてないとは限らないかもだし。まあ映画館あまり行かないからわかんないけど」

「おう」

「で……すると?」

「すると?」

「いや、わたしばっか頼んないでよ。わかんないし」

「ああ、悪い」

「でもなんかめっちゃ気になるね。生き物が関係してるんでしょ? じゃあ、生きるのに必要な場所ってことかな?」

「生きるのに必要……」

「やっぱ、スーパーとか薬局、病院?」

「なんで友達と食材買いに行くんだよ」

「わかんなくない? 潤の友達でしょ?」

「おれの悪口は好きにしたらいいけど、あいつの悪口は言うな」

「なによ。いい人になっちゃって」

変わったねと言う静香へ、ああ変わったよと返す。