透明な海



静香は頬杖をついて、蜂蜜レモンのグラスを揺らした。氷が涼しげな音を鳴らす。

「なあ」潤は言った。静香は「なに」と素っ気ない声を返す。

「生き物にすげえ関係あって、人間がいるところってどこだと思う?」

「はあ?」

「いや」

そうなるよな、と潤は苦笑した。

「生き物にすげえ関係がある場所なんだって。そこは。かつ人間がいる場所ってどこだと思う?」

「……ペットショップ?」

「え?」

「だから、ペットショップじゃないの?」

「ペットショップか……」

「なに、不満げじゃん」

「いやいや、そんなつもりは」

「なに、どうしたの?」

「友達が、そういう場所に行きたいんだって」

「へえ。男? 女?」

「男」

「へえ。どこだろうね。なぞなぞ?」

「いや、本気のやつ」

「ふうん」

静香はグラスに口をつけた。彼女の喉がこくりと音を鳴らした。

「なんだろうね。生き物に関係がある?」

「らしい」

「へえ。で、人間しかいないの?」

「ていうふうにおれは受け取ったけど」

「へええ。どこだろう。人間がいる、生き物に関係がある場所。どこでもそうじゃない? スーパーとか薬局とか、病院とか」

「友達とスーパー行きたがる男子高校生がいるか?」

「わかんないけど。潤の友達でしょ? 類は友を呼ぶって言うじゃん」

「いや、おれ友達とスーパー行きてえとか思ったことねえし」

「ああそうなんだ」

「意外なのかよ」

ふふっと笑う静香へ、潤はまじでねえからと返す。