透明な海



「十織はさ、自分が変わっていくことに対してどう思う?」

潤が言うと、十織は小さく唸った。

「なにによってどう変わっていくのかによるかな。『変われる』なら、嬉しいかな。『変わってしまう』のは、少し怖い」

「……だよな」

似ているなと潤は思った。

「なんで?」

「ううん。ただ、おれのこれは……恐れることはないなと思った」

「そう」――十織は潤の言葉の意を汲んだように、穏やかに言った。


「ああそうだ」十織は言った。「かわいくない?」と腕を見せる。

白か黒のグラデーションが成されたリストバンドがあった。

「なながくれた」

ここにインコがいるのと指で示す場所には、青い鳥の刺繍が成されていた。インコを飼っていると言っていたのを思い出した。

「へえ、仲がよさそうでなにより。え、何記念?」

「誕生日」

「……え、いつ?」

「今日」

「ああ、八月が誕生日って言ってたな。へえ、今日なんだ。え、なんかある?」

「ううん。この時間で充分」

「あ、出た」

「本心だよ」と苦笑する十織へ、「嬉しいんだけどな」と同じように返す。