「おれさ」潤はそっと声を発した。
「昨日また、ちょっと考えたんだ」
「なにを?」
「人間の存在意義。今の時代の、人間のな」
「ああ、おれも少し考えた」
「……え、おれの思考、操作とかしてねえよな?」
「だから」と苦笑する十織へ、手を出して「悪い悪い」と同じように返す。
「それで? 答えらしいものには近づけた?」十織は言った。
「え、お前は?」
「わからなかった」
「そうか」
「露木君は?」
「ああ。自分で見つけるしかねえのかなってちょっと思った。あまり納得してねえけど」
「……自分で、か」
「なにか、すべてを捧げられるようなもんが見つかれば、それでいいのかなって」
「へえ。なんか露木君ぽくないね」
「もっと捻くれてるやつだと思った?」
「嫌な言い方をしちゃえばね」
「おれもこんなはずじゃねえとは思ってんだけど。いかんせんお前と一緒にいるようになってから純粋になっちまってよ」
「ええ、おれ?」
「お前といるとなんか、自分の薄汚れた部分ばっか気になるようになっちまって」
「なんでだろう?」と純粋な声を発す十織へ、潤は「わかんね」と返した。
今までよりも少しばかり薄く見えるようになった自分へ、潤はそれでいいのだと言い聞かせた。



