潤は目を開け、「寝てた」と苦笑した。顔を濡らす汗をティーシャツで拭う。
「眠れるよね」
「ああ、つか今日十二日か……」
「もうこんな頃なんだね」
「本当だよ。まじでお前の最後の夢ってなんなの? 時間掛かるもんじゃ、いいかげん始めねえとやばいぞ。もう夏休み半分終わってんだよ」
「まあね」
「『まあね』じゃねえよ。まじで叶わずじまいの可能性あんぞ」
「どうだろうねえ。あと十九日」
「二週間と五日だ」
「どうしようか」
「どうもこうもちゃちゃっと言ってちゃちゃっと叶えようぜ?」
「せっかちだねえ。最悪、最後の一日で叶えることもできるからそんなに急がなくても大丈夫だよ」
「お前はなにをそんなにこだわってる。言えばいいじゃん」
「なににこだわってる――。『自然』、かな」
「いまさらなにを言ってやがる。おれらの始まりがもう不自然じゃんか」
「そんなことないよ。あのフードコートで二日続けて会うことは誰が操作したことでもないでしょう?」
「まあそうなんだけど」
「それに今は、普通の友達として過ごしてる」
「自信満々だな」
「おれ、他人の嘘を見抜くのは得意だと思ってるんだ」
「その割におれが七瀬を好きじゃないことめっちゃ確認してきたよな」
「『絶対』はないと思ってるからね。百パーセントがその瞬間に九十九パーセントになる可能性もある」
「まあそうなんだけど」
「大丈夫。おれの夢は叶うよ」
「『絶対』はないんだろ?」
「まあね。でも、今はもう少しこうしてたい。なにも考えず、空気の音だけ聴いてたい」
自分の欲に飲まれていたい、とでも続いてくるようだった。
潤は短く息をついて空を見た。



