黒のシーツに包まれたベッドの上、白と黒の縞模様が成された掛け布団カバーは、下谷 十織(しもや とおり)の口元までを隠し、同じ模様の枕カバーは彼の黒い短髪に癖をつける。

煌々と辺りを照らす朝日で、彼は目を開けた。

ベッドを降り、カーテンを開けてベランダに出る。そこを飾る無数の植物に、十織はふわりと表情をやわらげる。

「おはよう。今日もいい天気だね」

自身を見上げるような植物の前でしゃがみ、十織は部屋側の窓の足元に置いてある二リットルのペットボトルを手に取った。

「そろそろ乾いてきたね」

言いながらペットボトルの蓋を開ける。

とぷとぷと足元の土に水を掛けてやりながら、彼は「元気?」と花へ問う。続いて別の植物の足元を濡らし、同じように問うていく。

「ああ……」

今日も綺麗だ、と心底思う。

「今日も元気そうだね」

なによりだよと言って、十織はすべての植物の足元を濡らしていく。

水やりを終えると、十織は改めて、一つ一つの植物の状態を確認した。

「うん、みんなちゃんと元気みたいだね」

行ってきますと残して、彼は私室に戻る。


ワイシャツに、胸元に校章を刻んだ灰色のブレザー、それよりも濃い灰色のズボン――。最後に紺色のネクタイを結んだ。