「生きた人間もここに残ってる魂も同じようなもんなんじゃねえの?」
潤は十織のあとに続きながら言った。
「そんなわけないでしょう。この世界は生きたものが存在する場所。死んだものがいるべき場所じゃないんだよ」
「なら墓はどうなる。死者はそこに眠ってんだぞ」
「そうかもしれないけど……それはちゃんと、お寺の人と遺族が祈って、あれだから……」
はははと潤は笑った。
「本当に嫌いなんだな。そんなに?」
「そんなにだよ。だって亡くなった人がいるんだよ? 恐ろしいなんてものじゃないじゃん」
「怖い話してやろうか」
「嫌だね絶対。心霊、ホラー、怪談、怖い話、全部ごめんだから」
「じゃあさ、今度心霊スポット行ってみねえ? 幽霊の存在確認してみようぜ」
「嫌だ」
「いないことを確認できるかもしんねえじゃん」
「絶対に嫌。もしいた場合、そっとしてさしあげるのが一番なんだってば」
「どこ情報?」
「おれ発信。とにかく『怖い』が絡んでる場所には行かない」
「へええ。まあおれも心霊スポットはごめんだけどな」
「自殺行為だよ、あんな場所に行くなんて」
「好奇心が旺盛でよろしいと思うがな」
「そういうことじゃない。好きにしたらいいと思うけど、他に向けた方がいいとも思う。もしも体を乗っ取られたりしたらどうするつもりなんだか」
「へえ」と返しながら、潤は自分の口角が上がるのを感じた。