透明な海



食休みと称して、二人で芝生に寝転んだ。少しの沈黙を、同時に苦笑で破る。

「たぶんこれ――」潤が言うと、十織は「うん」と続いた。

「食後に仰向けはだめだよね、本来」

「まあ、満腹でもねえからな」

「えっ、結構食べてたよね」

「馬鹿、『育ち盛り』っつう便利な言葉があんだろう」

「ああ……」

ふう、と同時に息をついた。

「悪くないな、環境音鑑賞」

「でしょう? 風の音とか、車の音とか」

「最初はなにが楽しいのかと戸惑ったけど」

「明日、どこ行く?」

「いや、おれのこと大好きかよ」

「好きだよ。ななに似てるから」

あっは、と潤は苦笑した。「なんか複雑」

「なにより、露木君って人間らしいし」

「おっと」

「ところで、露木君は行きたい場所ないの?」

「ああ、別に」

「じゃあ、行きたくない場所は?」

「お化け屋敷」

「それおれかな」

「やっぱホラー嫌いなんだ?」

「だって自然じゃないじゃん。おかしいでしょ」

「まあな。で、どこ行くの」

つうか七瀬は、と言い掛けた声を飲み込んだ。

「どうしようかなあ……」

「なにがしたいわけ? どんな夢が残ってんのさ」

「言わない言わない」

「まあいいんだけどさ。こうしていられなくなる前に済ませろよ?」

「わかってる」と、十織は静かに言った。

「まあ、夏休み終わってからもまったく無理ってわけじゃねえけど、頻度がな」

「うん。……夢とか願いを叶えるのって、難しいよね」

「……どうした」

「露木君にはないの? 夢とか願いとか」

どうなんだろうな、と潤は笑った。