店を出て、潤は「あのさ」と声を発した。

「おれたまに思うんだけどさ、テレビでたまにふざけた演出で瞬間移動みたいなのあんじゃん」

「ああ、一回跳んだら着地するときには目的地にいる、みたいな」

「そう。あれ実際にできたらめっちゃ楽だよな。『よっ』て跳んだらもう、おれらあの土手にいんだぜ?」

「ああ……でもおれは歩くの好きだから、なくても困りはしないかな」

「ああそう」

「うん」と言う十織へ「そうか」と返し、変な静けさに同時に苦笑する。


潤は「よっこいしょ」と芝生に腰を下ろした。

「今日はずっとこのままでいいよな」

「露木君が退屈じゃなければ」

「まあ、別に。とりあえずおれの今日の目標はお前を泣かさないことだから」

「ああ」と苦笑する十織へ、「二日連続だかんな」と同じように返す。