「おれはこれから質問する。お前はそれに答えて――」
潤は声を止めた。すぐそばの通路を、店員に案内された女性の二人組が通っていく。それを見送って、ゆっくり吐いた息を吸い戻す。
「お前はそれに答えて、おれを納得させろ。それができなきゃ黙って糞くらって自信持っとけ」
いいなと締めくくると、十織は「はあ」とあいまいに頷いた。
「よし。では。なんでお前は七瀬に好かれていないと思うんだ?」
潤が言うと、十織はゆらりと目を逸らした。「だって」と呟く。
「おれ……ななになにもしてあげられてないし……。ななはおれと一緒にいる時間が楽しいって言ってくれたけど、相手のおれに同じようなこと言われちゃあそう言うしかないだろうし……。
おれ、こんな感じで頼りないし。ていうか変人だし。露木君は自分に自信を持てって言ってくれるけど、自分に誇れるところなんてないし……。こんな自分のない男、好きになる部分がないっていうか……」
同意を求めるように十織は目を見てきた。
「……それだけか?」
「充分でしょう」
「いいや。おれは納得しなかった」
反論したげな十織を、潤は「理由はある」と制した。
店員を呼ぶベルの音が響く。「ただいま伺います」の声のあと少しして、店員がそばの通路を歩いていった。しばらくして店員はそこを通って戻っていった。それまでの間、潤はメロンソーダを飲んで繋いだ。
空いたグラスを十織に見せて、「ちょっとタイム」と席を立つ。



