中途半端な時間でも、夏休みということもあってか同年代くらいの集団がいくつか目につく。

潤は氷を包むメロンソーダが入ったグラスを持って円を描くように手首を回した。

炭酸の弱いそれを一口飲み、丸く濡れた紙の上にグラスを戻す。

「そういやさ」

言っていいのかわかんねえけど、と潤は挟んだ。

「お前の彼女って七瀬でいいの?」

含んだウーロン茶を噴き出しかけて口を押さえる十織へ、「出したら頭突きな」と畳み掛ける。

十織は少し間を置いて手を離し、深く息をついた。

「いつ言われるかとはらはらしてたんだよ、ぽろっと言っちゃってから」

でもさと挟んで、「タイミング見ようよ」と彼は苦笑する。

「こういう場面で本当に噴き出すやついるのか見てみたかったんだ」と笑い返すと、「ナイスタイミングだったわけか」と十織も笑った。

「おれの彼女がななである――。それは否定するよ」

「え?」

「まだ恋人にはなってない」

くっそ、と潤は苦笑する。

「でも相手は七瀬なんだろ?」

「……まあ。なんで?」

「いや、別に。百五十五センチの六十キロとはかけ離れてるなと思って」

「なんでそんなこと覚えてるかなあ」

「言ったろ、好きなことに関してはそこそこな記憶力を発揮するって」

えっ、と嬉しそうな顔をする十織へそんな顔で見るなと返す。