透明な海



自動販売機で飲み物を買い、そばのベンチに腰を下ろした。

「彼女とはさ」潤は言った。「今も結構頻繁に会うの?」

「そうだね。なにせ家が隣なものだから」

十織は麦茶のペットボトルを開栓した。少し飲んで蓋を閉める。

「まじか」

「なんで?」

「いや。もし本当にお前らが筋金入りのうきうきピーポーになっちまったら、おれはお前と今みたいには会えねえなって」

「……そう、かもしれないね」

「だから……なんつうの? さっさとお前の夢、叶えていかねえとなって」

十織は小さく噴き出すように笑った。

「なに」と潤が返すと、「ううん」と彼は笑う。

「本気で叶えてくれようとしてるんだなって」

「まあな。だって本当に叶えたいんだろ?」

「そうなんだけどさ。こんなに……なんていうんだろう、こんなふうにされたの初めてだから」

「どれだけ粗末に扱われてんだよ。大丈夫か?」

「大丈夫だよ。友達がいないだけだから」

「そうか」

そんなふうに言う割に気にしてそうだけどな、とは声にはしなかった。

「で、お前の夢ってなんなの?」

「嫌だな。言いたくない」

「は?」

「だって言っちゃったら、露木君、さっさと片付けようとするでしょう?」

「まあ」

「それは嫌だ」

「なんで」

「現実が見える」

「最初から現実しかねえけど」

「わかってる。でも、偶然にも見える形であってほしい」

「偶然も現実の中で起こることだぞ。まあ、ただ予測できてなかっただけで当然なのかもしんねえけど」

「うん。ただ、わざわざ段取りはつけたくない」

「ああそう。まあ、それがお前の望みならいいんだけど。くれぐれも彼女と喧嘩とかすんなよ。『わたしと友達どっちが大切なのよ』とかって」

「そうだね。それは気をつけないと」