「露木君は、欲深くて感情的になる人が嫌いなの?」
ああ、と潤は短く認めた。
「そういう人間を見ると腹が立つ。理由は大体想像つくけど」
「そうなんだ?」
「同族嫌悪ってやつだろ。おれ自身、普通に感情的になるし貪欲だし」
「へええ」
「お前は? 人間が好きだって言うけど、どんな人間が好きなの?」
「生きてる人、かな」
「は?」
「生きていればいい。なにかを感じて、思って――いっそ、体温があればいい」
「……なにがそんなに好きなんだ?」
「生きてる姿そのものが、愛おしいというか」
「愛おしい」
まじかと潤は呟いた。
「欲望と感情に飲まれたような人間でも?」
「もちろん。欲や感情があるのは、生きてるゆえのことだから」
「へえ」と返しながら、潤は少し、穏やかになれた気がした。
「いざ恋人なんか得たら、すげえ長続きしそうだな」
「意外と浮気性かもしれないよ?」
「うわまじか。致命的……」
冗談冗談と十織は笑う。
「一人の人を想い続ける自信はあるよ」
「ふうん。ちょっと前に言ってた、一緒にいる時間に幸せを感じる人に、いっちょ告白的なことしてみれば?」
「ああ、それっぽいことはしてみたよ」十織はさらりと言った。
「まじで?」と潤は語尾を強めた。



