「潤はさ」静香はそっと声を放った。
「まるで自分とは違う考え方の人と、どうする?」
「どう接するかってところか?」
「そう」
「どう……だろうな……」
「潤も悩むか」と静香は苦笑する。
「そんなに気の合わないやつがいるのか?」
「いや……そういうわけではないんだけど。ちょっと理解できないっていうか。そういう考えの人がいるの。ああ、危ない人ってわけじゃないんだけど。個人的にちょっと、理解できないなと」
「ふうん……。まあ、それが害に変わったら関係を断てばいいんじゃね?」
ふふっと静香は笑う。「冷めてるなあ」
「それ以外にできることなんかないだろ」
「まあね。シンプルだね」
溢れ出したクリームを手に受け、彼女は助けを求めるように見つめてきた。
舐めちゃえと笑ってやれば、静香はしばし咀嚼したあと、手に受けたクリームを舐めた。
あとで手洗えよと言うと、当たり前じゃんと返ってきた。
理解できない考えの人間とどう接するか、か――。
理解できないというほど大げさなものでもないが、十織の存在が頭をよぎった。
いかなる意見も思想も否定しないし肯定しない――。
その在り方をすることで彼自身にどんなメリットがあるのか、潤にはわからなかった。同時に、なにかを否定か肯定することで及ぶ悪影響もわからなかった。
理解できないというほど大げさなもの、かもしれないなと潤は思った。



