透明な海



人の気配を感じると、三十代に見える女性が訝しげにこちらを見ていた。

「すみません」と軽く頭を下げて、潤はレジャーシートから少し離れた。

「あの」と彼女は言う。

「五歳くらいの女の子見ませんでした? ピンクのトップスに茶色のハーフパンツ穿いてるんですけど……」

「ああ、今友達が……」

なにを言っているのだとでも言いたげに女性の表情が変わる。えっと、と潤は苦笑する。

「一緒にぬいぐるみを探してて……」

「ああ、そうですか……」

どこに行ったかわかりますかと言う彼女へ、潤はあっちにと二人が走っていった方を示した。

「ああ、あれかな」

潤が「たぶん」と発すより先に、女性は二つの人の姿との距離を縮めた。

やがて、ママと上がったしいの声が聞こえた。

小さく見える彼女の姿は、淡いピンク色のものを女性へ差し出す。

彼女らが近づいてくるのに比例して、しいの声がはっきりと聞こえてくる。

「お兄ちゃんが見つけてくれたの」と指を向けられ、潤はびくりとした。

女性はすぐそばにきてから「ありがとうございました」と会釈する。

潤は「いえ」と首を振って、「失礼します」と頭を下げてその場を離れた。