透明な海



「りりいのこと、もうちょっと教えてもらえるかな? ピンクのうさぎなんだよね」

うんと少女は頷く。

「しいのお腹くらいの大きさ」

「そうか……」

これくらいかなと十織が両手を適当に広げると、一人称を「しい」とする少女は頷いた。

「そうか。りりいがなくなっちゃったのがわかったのはいつかな?」

「さっき。ママがおトイレに行ってるときに、お花に行ったとき」

「花?」潤が言うと、十織は「レジャーシートじゃないかな」と言った。

「その『お花』はどこにあるのかな?」

「あそこ」としいが示したのは、潤たちが座っていたベンチの対になる方向だった。

「一回、お兄ちゃんたちも『お花』に行ってもいいかな」

「うん」

「えっ、『たち』?」

「露木君も探してよ。しいちゃんのりりい」

「おれ、探し物は――」

得意じゃないんだけどと最後までは言わせずに、十織はしいと歩き出した。

潤は深く息をつき、二人の背を追う。