透明な海



ベンチに腰掛けて円を描くように動かすと、容器の中でがらがらと細かい氷が動いた。高い太陽に容器がかいた汗が足元にいびつな丸を落とした。

「幸せだなあ」と言う十織の声を左耳に聞きながら、潤は背もたれにもたれて右腕をその後ろへやった。

「一つずつ夢が叶ってる」

「何個あんの、夢」

「結構あるよ」

「そうなんだ」言いながら、簡単なものばかりなのだろうなと想像した。

「……友達関連なら、夏休み中にまるっと叶えとこうぜ」

「えっ、本当に?」

「まあ。どうせ簡単なのばっかだろ?」

「うん、そう思う人も多いかもしれない」

「なら夏休み中に全部叶えんぞ。その感じだと友達作ることに苦手意識持ってるだろ、だったら今のうちにまるっと」

「いいの?」

「まあ別に。おれに悪影響ないし」

潤は容器に刺さったストローを咥えた。中の炭酸飲料で口の中を冷やし、喉を潤した。

「露木君、人嫌いなんじゃないの?」

「ああ、確かに好きじゃねえよ。つかむしろ嫌い。でもそれは『人間』という生物であって、お前のことじゃない」

「そうか。じゃあ、頼もうかな」

「ああ」

ふっと、十織は穏やかに笑った。

「露木君、優しい人なんだね」

「……別に。普通だろ」

「そうかな」