光のない天井を眺め、潤は自分がおかしくなっていくような感覚を覚えた。
馬鹿馬鹿しい、と思う。
今まで他人と接してこれほど自分を乱されたことはない。このまま消えてしまうような気さえしている自分を、どこかでいやに冷静に見ている。
そして、考えたところでわかりもしないことに頭を使っているのが馬鹿馬鹿しいと思う。一人の人間と接したくらいで自分が自分でなくなるなど、空想の世界でしか起こり得ないのだ。
なにをどうしようと自分の意思を宿す肉体が「自分」であり、彼の場合、露木潤でしかなく、その肉体のプロフィールは変わらない。
潤は深く息をついた。ベッドの上で右下に体勢を変えて目を閉じる。
これだからおもしろいんだと言った十織の声が蘇った。
おもしろい、か――。



