透明な海



「露木君は、おれのことどう思う?」

「……はあ? そんな拗ねた恋人みたいなこと言われても」

「いいから。当てになるものがないんだ」

「……どうもなにも、ネジのバランスが悪いやつとしか思ってねえよ」

十織はふわりと笑みを浮かべた。

「そうか。それは?」

「だから、締まってるところは締まってんのに、緩んでるところはぐにゃぐにゃだっつってんの。まあ、気が合わないとは思わねえけど」

十織は笑みをさらに明るくした。

潤は思い切り嫌な顔を作ってやる。

「そのけがれのねえ顔やめろ。自己嫌悪に陥る」

「ああ、やっと会えたんだ」

「はあ?」

「おれ、露木君みたいな人に会いたかった」

「ああそう。幸せそうでなによりだ」

一度逸らした視線を十織の純粋な表情に戻し、潤は「おい」と声を漏らした。

「いつの間に点眼薬なんかさしてんだよ」

「おれは幸せだ」

「……なんなんだよ。まず涙腺のネジ締めとけ。頭は二の次だ」

「ああ、これだからおもしろいんだ」

「うん、おれは困惑してんだけど」

露木君、と十織は潤の顔を見た。

「これからもよろしくね」

おっと、と潤は苦笑した。

「……お手柔らかに」