こぼれた恋心2 ー2人のそれからー

本屋に入ってすぐに小説の新刊コーナーがある。
オレは思わず目を背けた。
売れっ子のイラストレーターの美空が描いた表紙の本があるに決まっているから。

「わぁー、やっぱりこのイラストもキレー！」
後輩はそう言って、1冊の本をオレの目の前に持ってきた。
美空のイラストだって言われなくてもわかる。

「先パイ、この本の作家さんですよ。美空の婚約者さん」
何でもないような口調で後輩はオレに言葉のナイフを突き立てる。
「へぇ、やっぱりイケメンじゃん。写真とプロフィールが載ってますよ！あ、私より年下ですね」

「お前、何なの。話があったんじゃないの？」
イライラしながら尋ねる。
「そんなにイライラしないでくださいよぉ」
後輩は悪びれもなく本を置いて、オレにニッコリと微笑んだ。