こぼれた恋心2 ー2人のそれからー

いつものように改札を通って駅のホームに向かう。
朝も早いので誰もホームにはいないと思っていたけれど、オレの予想に反してホームには人がいた。


女性がホームの掲示板のポスターを、熱心に眺めている。
女性の落ち着いた茶色い髪の毛は少しパーマがかかっていて、あごのラインで切られていた。
白いコートに淡いピンク色のマフラー。
キャメル色の大きな鞄を持っている。

どうしてそう思ったのか、わからない。
でもオレはわかってしまった。
ずっと会ってなくても、顔をしっかり見なくても、彼女のまとう雰囲気で確信があった。




「美空……」
我に返った時にはもう遅かった。
ほとんど無意識に名前を呼んでしまっていた。