こぼれた恋心2 ー2人のそれからー

「兄ちゃん、あんたもう帰りな!」
カウンターの奥から店の親父までそんなことを言う。
「もっと飲めます……」
「飲まなくていいって!あ、おいおい、そこで寝ないでくれよ!?」






気づいたら見慣れた天井が見えた。
あれ?
オレ……、いつの間に部屋に帰ってきたっけ?
起き上がると頭に激痛が走る。
「最悪……!」
頭を抱えて頭痛薬を探す。
「ってか、何時だ?出勤しなきゃ……」
ノロノロと身支度をはじめた。



まだ治まらない頭痛を抱えて、オレは最寄駅まで歩いている。
自分の歩く振動で頭痛が走るので、ゆっくり歩くしかない。

出勤時間よりかなり早く家を出たけれど、こんなにゆっくりしか歩けないならちょうど良かったのかもしれない。