こぼれた恋心2 ー2人のそれからー

美術部のみんなが集まっているお店には行きづらい。
でも部屋でじっとなんかしてられない。
耐えられないんだ、この胸の奥にあるモヤモヤに。



結局オレはひとり、いつも行っている飲み屋の暖簾(のれん)をくぐった。
「いらっしゃい!……って、またひとりか?」
飲み屋の親父がニヤニヤ笑ってからかってくる。


何杯飲んだんだろう。
酒の入ったコップを持つ手が熱くて赤い。
「兄ちゃん、もうやめときなって」
カウンターの隣の席に座っている中年のおじさんが、心配そうな顔をしていた。
「いや、オレはこんなもんじゃないんです……」
「いやいや、酔ってるじゃん。顔色も悪いよ?」
「オレだって……いつかは……」