家に帰り、部屋の明かりをつける。
ひとりぼっちの部屋。
「あいつ、怖ぇーよ」
独り言を言いながら、洗面所に向かった。
美空が帰ってくる。
この街に。
どんな大人になっているんだろう?
変わったところがきっとあるんだろう。
変わらないところだって、もしかしたらあるのかもしれない。
「……会いたい……」
本当はオレだって、会いたいよ。
会って謝りたい。
許してほしいなんて言えないけれど、でも心の奥では許してほしいと思っている自分だっている。
あの笑顔に会いたい。
前みたいにオレの名前を呼んでほしい。
一緒にいてほしい。
「でも」
美空は結婚するんじゃん。
オレのことなんか、きっと忘れてる。



